朝井リョウの小説にハマってる

 

 

部活に打ち込んで泣き、友達と衝突して仲直りし、充分に青春を謳歌してきたと思っているけれど、それでもまだあの頃が恋しいと心が言う。寒いと自分でもわかっていてもどうしようもないから困る。

そういう心をくすぐってくるのが、25にもなって初めて読んだ朝井リョウの小説だった。

 

私にとっては、「青春=好きな子」で、身勝手なあの頃の恋愛がどうしても懐かしい。

薄っぺらくて、でもだからこそ本物で、学生だったから許された下手くそで純粋な恋愛模様を描いてくれるのが好きだなと思った。

 

朝井リョウの小説に対して初めてそう思ったのは「桐島、部活やめるってよ」の全体を通してだけど、一番自分と比べたのが「少女は卒業しない」の中の「四拍子をもう一度」という話だった。

 

自分の好きな人の素敵なところは、他の人にも知って欲しいと思うことが普通なんだろうか?

 

小説を読んで青春時代を思い出した時、必ずしもそんなことはなくて、彼を私だけのものにしたかったと思った。

彼がどんなに格好良くて優しくて、そんなこと他の女の子たちに知って欲しくない…と言ったら嘘になるけれど、それでライバルが増えるのならみんなに知らせたいなんて到底思えなかった。自分だけの彼でいて欲しかった。

 

大人になった今はどうだろう?

好きな人は仕事ができる。人に紹介しても恥ずかしくない。むしろ自慢できる。そんな彼が好きな自分も素敵だと思う。

でもそれはきっと彼の良いところを知って欲しいという気持ちからではなくて。

彼氏をステータスだと言うつもりはさらさらないけれど、自分が安心したい、自分の好きなものを信じたい。

 

好きな子に対しての自分本意なポジションはいつも変わらない。

 

 

…なんて色々考えて読んでいたら、小説のあの子も別に綺麗な気持ちで彼の良さを知ってもらおうと思っているだけじゃなくて、本当に自分勝手で安心した。

多分彼の気持ちなんか考えていなくて(結果として彼が満足するものだったとしても)、彼女のエゴで作られたフィナーレで、それこそが私が大人になってなお焦がれている恋なんじゃないか?